2018-03-14
福島帰還者支援活動(H29.11月)

     報 告 書(ダイジェスト版)
     平成29年11月17日

        NPO法人 鍼灸地域支援ネット 森岡 正和
        一般社団法人 京都精神保健福祉協会 吉村 安隆

1.主 旨
福島県から京都市営団地で避難生活をし、毎月一回行われる避難者との茶話会(意見交換等)に併せて鍼灸の施術を受け、福島県に帰還された方を訪問し、生活状況や健康状態を確認し、今度の被災者の地域支援の在り方・課題等を探索する。

2.訪問者
  一般社団法人 京都精神保健福祉協会 吉村 安隆
  NPO法人 鍼灸地域支援ネット 森岡 正和

3.行 程
平成29年11月11日(土)
午前 大阪空港 → 福島空港(移動)
郡山市内帰還者訪問
午後 南相馬市内帰還者訪問
平成29年11月12日(日)
午前 いわき市内帰還者訪問
午後 福島空港 → 大阪空港(移動)

4.調査結果
(1)A.さん(80歳代女性)
○生活状況
・平成29年6月に帰郷。
・夫と死別したため、旧宅(戸建住宅)で独居生活。
・長女が看護師で近くに居住。
・甥が定期的(1~2回/週)に日常生活の世話に訪れる。
○健康状態
・帰還してから、1週間入院した。
・従来から左肩上腕の挙上制限がある。また、右手指が痺れる尺骨神経麻痺がある。いずれも症状の悪化は見られない。
・会話が弾み、笑顔が見られた。
○自宅訪問時の鍼灸治療
・右手第4指及び第5指の指節関節に台座灸施灸。
・左肩背部に刺鍼及び円筒灸施灸。

(2)B.さん(70歳代女性)
○生活状況
・平成28年12月に帰還し、福島県営復興住宅に入居し、夫と二人暮し。
・大型スーパーが隣接し、買い物が便利。
・娘さんが近隣で暮らしているため、日常的に世話に訪れる。
・軽トラックを買って、移動手段に用いている。
○健康状態
・左足の変形性膝関節症が悪化したため、今年1月に人工関節の手術を受けた。まだ、歩行が不自由で、手術痕が今も痛む。
・右足の変形性膝関節症も起床時や階段の下降時等に痛む。
・住居の間取りが多いため、快適な生活を過ごされている様子である。
○自宅訪問時の鍼灸治療
・左膝人工関節手術痕の血流改善による疼痛緩和のために刺鍼。
・右膝内側圧痛個所に円筒灸施灸。

(3)Cさん(70歳代女性)
○生活状況
・平成29年5月に旧宅(戸建住宅/築後100年)に帰郷した。
・夫と死別したため独居生活。
・ゆったりと一人の生活を楽しんでおられるように窺える。
・玄関土間に応接セットなどが設置されており、懇談ができるようになっている。
・スクーターを移動手段に使用している。
○健康状況
・脊柱管狭窄症による坐骨神経痛の症状があり、左腰臀部・股関節・左大腿後部から膝窩にかけて疼痛・痺れがある。
・昔、バイクで転倒した時の肘打撲の古傷があり、肘関節(肘頭)付近に圧痛がある。
・食欲が旺盛で体重が増加傾向のため、膝関節に負担がかかり、歩行時に膝関節が痛む。
・下肢に水腫(右側>左側)がある。
○自宅訪問時の鍼灸治療
坐骨神経痛の症状緩和に、左側を中心に腰臀部・大腿後部・膝窩に刺鍼し、その後、腰臀部に円筒灸を施灸。膝窩部には鍼の効果を持続させるため円皮鍼を貼付。
・両膝関節内側に円筒灸を施灸。
・左肘関節付近の打撲古傷に刺鍼し、その後円皮鍼を貼付。
・肩こりのため、肩背部に円皮鍼を施術。
                    以上

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