2018-07-17
西日本豪雨災害を経験して

西日本豪雨災害を経験して〜言葉の大切さ〜

はりネット会員の皆さん、こんにちは。会員の福森千晶と申します。
私は約4年間、関西を拠点としてはりネットの支援活動に参加していましたが、鍼灸師として更に高みを目指す為にこの4月から広島へ拠点を移し、ようやく環境にも慣れて来たと思った矢先に今回の西日本豪雨災害が起こりました。

西日本豪雨の記事17/6(金)、前日から雨は降っていましたが、梅雨時期だから仕方がないだろうと思っていたのはきっと私だけではなかったと思います。
この日は午前中からずっと避難勧告メールが院内で鳴り響き、4年前にもこの安佐南区で起こった土砂災害を思い出させるような強い雨が降り続け、夜になる頃には広島市街地を流れる太田川があと20㎝で溢れ出るからいつでも避難出来るようにという連絡が回って来ました。
実際には難を逃れましたが、いつも見ている川が増水により氾濫している光景はただごとではないことを知らせているのだと思う反面、正直そんなことは起きないだろうと思う自分がここにいました。

 

西日本豪雨での品不足状態私の住む安佐南区は直接大きな被害はありませんでしたが、1週間が過ぎようとする現在も近所のスーパーやコンビニ、食材を取り扱うお店には広範囲にわたる道路の寸断により商品の納品が未定という状況です。
又、この先どうなるかわからない焦りから商品の買い占めが起こり、価格の高騰化が起こっています。
職場に関しても遠くから来られる患者さんが多く、被災地域にお住まいの方の安否の確認が出来ていないことが何より心配です。

この現在の状況に今の私に何が出来るのか必死に考えれば考える程、やるせない気持ちが湧いて来て、どんどん心のコントロールが出来なくなっていたタイミングに日比先生から御連絡をいただき、今こうして現状を言葉にして書き綴ることが出来るまでになりました。

西日本豪雨の記事2今回の水害で感じたこと、もちろん備えや準備は大切なのは皆さん重々承知だと思いますが、実際には周囲を見渡す限り、「私のところは大丈夫」そう言葉にしている方があまりにも多く、常に避難道具を準備している私に対して「偉いね」なんて言葉が返って来たときはこれが災害に対しての認識なんだと改めて感じました。
又、傾聴を学ぶ機会をいただいていたからこそ一つ一つの言葉に引っかかる場面が多々ありました。
私はライフラインも滞ることなく、水道をひねれば水が出ます。
プライバシーを守られる家もあります。命に別状もありません。
そんな状況にこれ以上に何を求める必要があるのか、何度も心を抑制しようとしました。
患者さんと関わる立場なんだから弱音なんて吐いている場合ではない、若いんだから笑ってなさいという御言葉もいただきました。
頭では理解しようとするけれど、心では傷ついているそんな状況にこれも一種の被災者として含まれるのかなと自身のことながらずっと考えています。

今も尚、救助活動が行われており、ライフラインが復旧せずに避難所生活を余儀なくされている方も多くいらっしゃいます。流通の面でもまだまだ滞りがあり、不具合が生じている地域もあります。

私自身、今回の件で沢山の方に多くの励ましの言葉をいただき、勇気づけられました。
だから私も自身の言葉でありのままの現状を伝え、誰か一人でも何か感じていただければ幸いです。

そして最後に皆さんにお伝えしたいこと、それは今目の前にいる家族や大切に思う人、患者さんを今まで以上に大切にしていただきたいと切に願います。

梅雨が明け、体温と同じぐらいの暑さになって来ましたので充分体調管理にはお気をつけくださいませ。

福森 千晶

 

西日本豪雨の記事3

▲このページの先頭へ