2018-03-14
福島での活動報告(H29.11月)

東日本大震災が発生してから6年8ヶ月。
この災害によって発生した福島第一原発事故の放射能による被害がいまだ深刻な問題として残る福島県へ行く機会を日比先生にいただき、11/11〜13まで行って来ました。
自身が大学卒業する目前に震災が起こり、遠く離れた関西に住む私は何も出来ないことへの無力感を覚えたのと同時に何か出来ることを見つけたいという想いが当時から心の中に存在していました。紆余曲折を経て鍼灸の道へと進むこととなり、震災発生直後より熱心に活動されていた日比先生のもとを尋ねて3年半。鍼灸師という立場で被災地では何が出来るのか、1人の人間として何を守らなければならないのか、セミナーや現場活動を通じて今も尚教えていただいています。今回、福島での災害支援活動に参加したいと申し出たのもこれまで福島へ訪れたことがなかったことと今だからこそ現地の状況を自分の眼で見て、現地の方から話される事実を自分の耳で聴きたいと思ったからでした。

請戸の被災地伊丹から福島まで70分弱。この日は強風の為に成田か仙台に着陸するかもしれませんとアナウンスがありヒヤヒヤしながらの出発でしたが、無事に福島空港に着き一安心しました。当然ですが関西と東北の寒さの違いに皆驚いていました。その後福島空港からはレンタカーを借り、2つのグループに分かれて私は日比・土肥先生グループと浪江町へと向かいました。浪江へ向かう途中、高速道路を利用したのですが空気中に存在する放射線量が計測され表記されたモニタリングポストとよばれるものが各所に設置されていました。場所によっては3.0μSv/h以上の差があり、SAで交通整備をされている警備員の方は皆、マスクや防護服で身を包んでいる姿は関西では考えられない光景が目の前にありました。空港から2時間程で浪江に到着し、まず大平山霊園の慰霊碑に手を合わせに行きました。その場所から沿岸部を見渡すことが出来、昨年は家や船などがまだ残っていたけれど今は更地になっているねと昨年来られた先生方からお聞きしました。かつてここは海に泳ぎに来る方達で賑わっていたそうです。今後この場所は汚染物の処理場として利用されるそうです。この後、市街地へと向かいました。道路は綺麗になっていましたが、家やお店、クリニック、その他の建物も震災後そのままの状態で避難解除されたといえども人が住んでいるという形跡はほとんどありませんでした。見かける車は恐らく原発関連で作業されている方達かなという印象で歩行者や自転車を見かけることはありませんでした。

市街地の様子を車からの視察後、今回のメインイベントである「福島のお母さんを応援しよう企画〜鍼灸マッサージ体験とハリウッドスタイル美容鍼と茶話会」の会場となる郡山市の大槻ふれあいセンターへと向かいました。今回のイベント協力していただいた震災後、避難経験をして福島に戻ってきたママさんサークルのはみんぐBirdさんのおかげでベッド設営もスムーズに行うことが出来、明日の準備を終えて郡山駅付近の宿泊先へと向かいました。その夜の懇親会では地元の新鮮な野菜やお魚をいただきながら今日感じたことを皆で話し合いました。また壁を越えてではありましたが、原発についての話が聞こえて来ました。きっと地元の方であり、中々外では話すことが出来ないリアルな声が飛び交っている現実を目の当たりにしました。

 

 

2日目、9時前に会場入りし、皆で最終確認を行い、10時から来られる方をお待ちしました。会議室であった空間は花で彩られ、まるでサロンのようでした。美容鍼を受けてみたい方はもちろん、身体のメンテナンスをして欲しいという方もいらっしゃり皆お仕事と子育てを両立されている方が多く、中々自分の身体と向き合う時間がないとおっしゃる中で少しでもリラックスしていただければと思っていました。身体を休めてもらった後はハーブティーを飲んだり、せんねん灸を試したりとゆったりとした時間を過ごしていただきました。大変明るいお母さんが多い印象でしたが、想い想いに話される福島の現実に原発事故による影響はまだまだ重くのしかかっています。そして小児はりを受けてくれた子供達の将来を守る為にお母さん達は常に現実と向き合い闘っていることをお話から伺えました。こうして話を聞くからこそ見えることが沢山ありました。あっという間に15時をまわり、最後の最後まで皆さんとの時間を過ごすことが出来ました。これもはみんぐBirdさんの御協力あってこそだということ改めて感謝しています。この後、昼食のお弁当を提供していただいたINO CAFEさんへ御挨拶しに行きました。こちらでも放射能線による内部被曝の問題についてお話を聞きました。福島の米や野菜など市場に出回る前にきちんと検査をして国の基準値を満たしているから大丈夫だと言われると大抵の方は国が大丈夫と言ったからと安心されます。でも、国の基準値と言っても毎日口にすること本当に身体への害はないのだろうか、今でも疑いがあって安心出来ず、食材選びも吟味するとおっしゃっていました。国は言葉巧みに使い、納得させるような言い方をしているという事実に納得してしまいました。こうして事実を知ることで少しでも一緒に歩み進むような繋がりを持てることが理想であることを改めて強く感じた1日となりました。

最終日の3日目、昨日の晩から合流した浜野先生を含めた4人で福島駅付近が拠点となる曹洞宗東日本大震災災害対策本部支援室分室へ向かい、スタッフの方々と飯館村より避難されて来た方々が待つ伊達東仮設住宅へ傾聴・鍼灸マッサージ活動を行ないました。10時からのスタートに早くから待ってくださる方も居ました。高齢者の方が多く、冷えからの腰や膝痛を訴える方が多く見受けられました。ここは来年の3月末には閉鎖するとのことで、お顔や身体がすっきりした施術後の帰り際に「また今度ですね」とは言えない状況でした。12時過ぎまで行い、こちらでもスタッフの方々の御協力のおかげで利用者の方に受けていただくことが出来ました。

夕方の便で福島空港から伊丹へと帰阪し、全ての活動を終えました。
被災地での活動でいつも気をつけている事が相手が望んでいない支援をこちらから提供しないようにすること。これは支援の押し付けになり、ただの自己満足に過ぎません。ネットの情報や風評被害など耳にしますが、何が正しくて、何が違うのかをきちんと見分けられるようにしなければならないことを改めて痛切に感じました。
時間の経過と共に風化されることが1番恐れられています。何の不安も無く空気を吸えること、食事が出来ること、毎日が当たり前でないことに感謝しながら今後も活動に関わっていきたいと思います。(福森)

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