2018-06-19
[寄稿]鈴木暢弘氏

――前投稿「福島に生きる1」でご紹介した福島県郡山市にお住まいの鈴木暢弘先生
(治療院『はり・灸・接骨・快生堂』)からいただいた原稿を転載させていただきます――

 

鈴木暢弘先生「本宮市での活動も、おかげさまで14回目を迎えます。元々は私が川俣での活動に参加した際、活動の場所で苦労されている、という話を聞き「本宮市ならなんとかなりますよ」と言ったのがきっかけです。
関連するので少しだけ震災時のお話を、フクシマは事情が少しだけ複雑でしたから・・・
震災後、郡山にも原発事故で、双葉郡などから体育館や公民館などに大勢の方が避難してきました。当然、鍼灸師会、柔整師会、鍼灸マッサージ師会によりボランティア活動がはじまりました、私は障碍者スポーツの福島県のトレーナーをしていた関係で、養護学校などへのケア活動があったため、あまり参加は出来ませんでした。
原発が少し落ち着いた2~3ケ月後に福島県内の団体はほぼ活動を終えました。
一部の避難者のマナーの悪さが取り上げられるようになったからです、原発避難者は宮城や岩手の避難者と違い、東電からの賠償金があり酒場やパチンコ店での遊興が報じられ始めました、「そんなお金がある人たちにボランティアは必要ないだろう」という空気が出始めたからです。
双葉郡-大熊、富岡、双葉-は原発の町で、避難者の多くは家族、親戚に東電関係者がおりましたし原発で町が潤っていたことは事実です、その上で、原発の恨み言を広言する人への不快感もありました。
本宮の活動は私が川俣の活動に参加したことがご縁での活動と申し上げましたが、これが双葉郡に対する活動であったなら参加しなかったと思います。
震災後の私の活動は障碍者団体と、公務員の方に対してのものでした、公務員の場合、いろいろな制約があり、公表も記録にも残さない条件で活動しました(もう時効ですよね?)そのおかげで、本宮でこんな活動をしたいです、となったとき、社会福祉協議会、市役所、子育て支援NPOの方々が知り合いだった為、スムーズに事が運びました。
本宮では、現在年3~4回のペースで主に小児鍼と伝統鍼灸の普及を目的とした活動を行っております。
福島県の固定メンバーは7名、福島県小児中医普及会が主体となり、毎回30~40名の方が利用いただいております。
仙台大師はりの会、福島県鍼灸師会などの協力をいただきながら、少しでも鍼灸の普及に繋がればと思います。
遠方の方からみれば、福島はなにか特別な印象があるかもしれませんが、大多数の住民は普通に生きています、花粉症や風邪でもなくマスクをしている人はいませんし、公園では子供たちが遊んでいます、スーパーの地元産コーナーでは福島県産の作物が並び多くの方が買い求めております、息子の学校にも札幌や岩手からの転校生も来ています。
モニタリングポスト(線量計です)を気にする人もあまりいません。
福島を応援していただけることは大変、感謝しています。
もし可能であり、願わくば、自主避難者の方だけでなく街を普通に歩いている人々と話をし、福島の現状を判断していただければ嬉しいです。
地域支援ネットでの雑談のなかで、地元の鍼灸師と
「俺ら、援助される側なの?」
と思いました、原発事故の影響で、直後は売り上げが激減しましたが、東電からの保障で、正直に書くと200万ほどのお金が出ました、ありがたくいただきましたが、なんの保障もなかった宮城、岩手の被災者に申し訳ない気持ちで一杯になりました。」

福島市内の公園

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