傾聴セミナー
「人の苦しみに直面する援助者のために」
〜対人援助・現象学で変わる復興支援と臨床現場の最前線〜
日 時: 平成30年1月8日(月・祝)13:30〜16:30
会 場: くまもと県民会館パレア9階第2会議室
講 師: 的場康徳先生(鹿児島大学大学院医歯額総合研究科医師)
1/8傾聴セミナーチラシ
昨年2月12日に、熊本地震の支援を行う鍼灸師を対象として、「援助的コミュニケ-ジョン」「傾聴の行い方」について学んだ。熊本県の各地では、今もなお仮設住宅に入居され、まだまだ被災した苦しみを抱えている方も多い。鍼灸師やあマ指師はその職性から、将来を失った方々に対する傾聴の機会が多くあり、施術による症状緩和だけでなく対人関係による苦しみのケアが求められている。
今回で第4回になる傾聴セミナーでは、単に「話を聴く」という技術ではなく、対人援助論と現象学に基づいて「援助」のあり方について、昨年に引き続いて鹿児島大学大学院医師の的場康徳先生に講義していただいた。また、支援に関わる鍼灸師・あマ指師だけでなく、ボランティア活動に関わる方も対象としてセミナーを開催した。
講義では、対人援助論の基礎として、本来「苦しみ」とはいかなる体験なのかを学びながら、その苦しみを和らげ、軽くし、無くする「援助」のアプローチについて考えた。また、体験をとらえる現象学的な観点から、意識の志向性(何に意識を向けるか)によって現れが変化することを現場で生かすこと。実際の災害で行われた援助場面の会話記録を用いた、災害復興における援助のあり方について関係性に基づいて他者を援助することなど、グループワークを通じて学んだ。
的場先生の話は普段の臨床現場において、身体的・精神的・社会的に苦しみを感じている患者にも「対人援助論」の概念に基づいて接することで、そのケアが専門職性を発揮して行う事が出来ると考えられた。
私たち鍼灸師・あマ指師は、他の医療職に比べても患者と接する時間が比較的多いため、この「対人援助論」や「現象学的な考え」を用いることで、患者の持つ苦しみを和らげ、軽くし、なくするための援助的コミュニケーションを深めていきたい。
今回の活動で熊本地震の被災地支援活動は終了となるが、また機会を見つけてこのような研修事業を行っていきたいと思う。
最後に、この研修事業は、「中央共同募金会・赤い羽根ボラサポ九州」の助成によって行う事が出来ました。ここに厚くお礼を申し上げます。