2024-02-17
能登半島地震支援活動報告

鍼灸地域支援ネットでは能登中部保健医療調整本部の要請に基づき、2月5日~7日の3日間、七尾市の避難所にて鍼灸マッサージによる支援活動を行いました。のべ56名の避難者・支援者が施術を受けてくださいました。

平行して志賀町、能登町、珠洲市にて災害医療ACT研究所のトイレ支援活動に参加し、現地の状況調査を行いました。

七尾市は上下水道の復旧が遅れており、避難所の皆さんはトイレや入浴の点で不自由を強いられておられました。長引く避難生活のストレスからくる疲労や痛みを訴えられる方も多くおられました。

一日も早く生活環境が改善され、穏やかな日常が戻ることを、心よりお祈り申し上げます。

■日程:2024年2月4日(日)~8日(木)(4日・8日は移動日)

■主な活動地:石川県七尾市 矢田郷地区コミュニティセンター【七尾サンライフプラザ】(七尾市本府中町ヲ38)

■施術日時:2月5日(月)11時~18時、6日(火)14時~17時、7日(水)13時~21時

■受療者数:のべ56名(5日:9名、6日:11名、7日:36名)

■活動参加者:6名 日比泰広(調整員/滋賀県/鍼灸地域支援ネット、HART関東)、宮城春香(リーダー/大阪府/鍼灸地域支援ネット)、吉舎定良(マッサージ/大阪府/鍼灸地域支援ネット)、福森千晶(鍼灸/三重県/鍼灸地域支援ネット)、浜野浩一(サブリーダー/鍼灸指圧/東京都/鍼灸地域支援ネット、HART関東)、鎌倉要子(鍼灸/東京都/HART関東)

■活動概要

2月4日(日)

・ 日比、宮城、吉舎、福森が宿舎(金沢)入り。

2月5日(月)

・ 8時、七尾市・能登中部保健医療調整本部のミーティングに参加(日比、宮城、吉舎、福森)

・ 〇〇時、矢田郷地区コミュニティセンターで施術活動開始(日比、宮城、吉舎、福森)

・ 浜野、鎌倉が宿舎入り。

・ 22時、宿舎にてミーティング

2月6日(火)

・ 7時、宿舎にてミーティング

・ 10時~12時、志賀町の避難所(熊野交流センター、富来防災センター、富来活性化センター)にて調査活動(日比、浜野)

・ 13時30分~17時30分、能登町にて調査活動(日比:日赤医師に帯同)

・ 14時~17時、矢田郷地区コミュニティセンターで施術活動(宮城、吉舎、福森、浜野、鎌倉) ※降雪のため、夜間活動は中止

・ 21時、宿舎にてミーティング

2月7日(水)

・ 8時~18時、能登町・珠洲市にて調査活動(日比:日赤医師に帯同)

・ 11時、宿舎にてミーティング

・ 13時~21時、矢田郷地区コミュニティセンターで施術活動(宮城、吉舎、福森、浜野、鎌倉)

・ 23時、宿舎にてミーティング

2月8日(木)

・ 8時、能登中部保健医療調整本部に活動終了報告(日比)

■活動リポート

〇施術活動場所

矢田郷地区コミュニティセンターは鉄筋2階建てのビルで、図書室やホール、会議室などがある。約200名弱の避難者は主に多目的ホールと大会議室に設置されたダンボールベッドで寝起きされている。

発災から1か月以上経過しているが、上下水道は復旧していない。屋内トイレは使用不可で、屋外のトイレカーと仮設トイレを利用する際も、汲み置きの水をバケツに移し入れ、使用の都度、自分で流さなければならない。

入浴は屋外に設置されたシャワーテントを利用しているが、数が限られており、また電気がないため日没後は暗く、利用しにくそうだった。結果、充分に入浴ができていない方がおられると思われた。

建物は24時間暖房が効いていて、体育館の避難所のような寒さはない。むしろ暑いくらいで、温度調整が難しいという声も。

七尾市は奥能登に比べてアクセスしやすいためか、多くの支援者が入っているようで、この避難所にも様々な支援団体が訪れていた。

〇施術

2階和室を施術会場に使う許可をいただき、ベッド4台を設置した。エレベーターが使用不可のため、会場に来るには階段を使うしかないのだが、2階に上がって来られない方もおられるため、1階ホールにもベッドを設置して施術を行った。

告知は館内放送で行った。日を重ねるほど受療者が増え、これはリピーターが多かったこと、クチコミが広がったことが理由と思われる。特に最終日は夜間まで活動を行ったことで、多くの方に施術を受けていただくことができた。

夜間活動は初日から行う予定だったが、降雪で道路状況が悪化したため、初日・二日目は断念せざるを得ず、最終日しか実施できなかった。それでも「夜間に支援活動をしてくれた団体は初めて」と喜ばれた。過去の災害でもたびたび経験したことだが、日中は仕事や片づけで外出されている方が多いため、避難所での夜間活動のニーズは高い。

〇受療者

避難生活や被災した自宅の片付け作業のストレス・負担からくる疲労、不眠、痛みを訴える方が目立った。偏った食生活から栄養失調と診断されている方もおられた。避難者だけでなく、本部スタッフにも受療していただいた。鍼灸を受けられた方とマッサージ・指圧のみの方の割合はほぼ半々だったが、受療後の表情を拝見する限り、満足していただけたと思われる。

〇引き継ぎ

本活動は石川県鍼灸マッサージ師会および、JLCDAM(日本災害鍼灸マッサージ連絡協議会)との連携の下に行われた。活動終了時には、続いてこの避難所に支援に入るJLCDAM構成団体にカルテの引き継ぎを行った。

以上

2024年2月14日

鍼灸地域支援ネット理事 浜野浩一

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